-アンビバレント-
「も―すぐクリスマスだね…」
「うん…」
車の窓から外を眺めてた清音が何気無く言った一言に
なぜか胸がチクッと痛んだ。
そもそも『クリスマス』なんて
あたしに良い思い出なんてないんだ――
あたしが苦しい時とか寂しい時に
体育座りをするクセがついた発端はクリスマスだし
最初に実流と別れたのもクリスマス――
幼い頃親とケンカして
その当時のあたしじゃ1人でどうにも抱えきれないような
酷い言葉をたくさん言われたのも
クリスマスの夜だった――
人々は『聖なる夜』とか言って
イルミネーション飾って
豪華な料理食べて
でもあたしは違うんだ。
毎年毎年
恐怖に身をすくめながら過ごす…―