-アンビバレント-
あの駅の前にある大きな木にイルミネーションが飾られる頃は
木の下は恋人たちの待ち合わせ場所になる。
クリスマスにぴったりの曲がたくさんかかって
みんなが幸せそうに笑う。
「香保さん、大丈夫っスか?何か顔色悪いっスよ?」
「うん…。大丈夫。ありがとね。」
康人が心配しに来てくれてからも
みんなが準備している端っこで
あたしは体育座りをしていた。
「オイ、お前…大丈夫かよ……」
「あ、うん。ごめん…大丈夫だよ」
あまりにあたしがボーっとしているので
実流まで心配して来てくれた。
「まだ引きずってんの?」
実流のその一言であたしはおもいっきり反応した。