-アンビバレント-
「やっぱり……ど―りで挙動不審になってると思った」
「引きずってなんかないよ、大丈夫だってば」
「別にウソつかなくてい―よ…俺が分かんないとでも思った?」
強がって無理に笑うあたしのほっぺを
実流がムニッと引っ張った。
「でも今日は…ウソでもいいから…笑ってくれ」
「うん…」
「本番終わったらいくらでも付き合ってやるよ…」
「うん……」
そしてあたしはいつもの定位置について
いつもの笑顔でマイクを握りしめた。
強く握りすぎて指先が白くなるほどに。
『こんばんは――!!スターライトです!!』
また今日という1日が
『過去』になるんだと思いながら――