-アンビバレント-
「でもこれからどこ行くの――?こんな夜中にどっか空いてるの?」
時刻は23:30をまわったところ。
お店なんてどこも空いてないだろうし…
ゆっくり話せる場所もないんじゃないのかな……
そもそも何を話すんだろう?
今さら実流と2人きりで話すような事もない気がするだけど……
「オレん家でい―じゃん」
「えぇ!?」
「ど―せオレ1人じゃぁあんなだだっ広い家にいても虚しくなるだけだし」
運転している実流の横顔を見るのは初めてだった。
「悪ぃけど今日はオレに付き合ってよ」
実流の顔を見てたら
強がってんのはどっちだよって
そう言ってやりたくなった。
実流の切ない顔は
横顔だと余計に切なさを増してた。