-アンビバレント-
「しっかし広いね――いつ来ても…」
「…でもたまに家が怖くなるよ」
分かる気がした。
あたしも家が怖かったよ。
ずっと小さい時から。
たった1人じゃ……
耐えきれなかった。
「香保シャワー先入ってくれば?」
「あ、うん…ありがと」
実流の大きすぎるベッドに勝手に腰かけていたあたしは
実流に促されてシャワーを浴びに行った。
広い家のシャワーはやっぱり広くて
あたしがすごくちっぽけなものに感じた。
でももう今は
1人に怯えてた小さい頃とは違うんだ。
あたしは自分自身に言い聞かせた。