-アンビバレント-
ガチャ――
「起きてる――?」
あたしが寝てたら実流の独り言になるなぁと思い
あたしはクスクス笑った。
「なんだ起きてんじゃん。さ――寝よ」
あたしが起きてるか確認しといて結局寝るのかよとか思いながら
ベッドに実流が入れるスペースを空けた。
そのスペースにもぞもぞと実流が入る。
「お風呂早かったね―」
「お前は長すぎ」
そんなどーでもいい話で笑いあった。
今さら服を脱がせあって抱き合うなんて
そんな事をするような初々しい関係じゃない事は
たぶん2人共ちゃんと理解してたし
あたしはただ何も言わないで抱き締められる方が
よっぽど嬉しかった。