-アンビバレント-



「オレはさぁ…」


その時実流がぼそっと呟いた。



「ずっとドラム叩き続けてきた訳じゃない。音楽だって好きだとも思ってなかった」

「うん……」

「でももうどうしようもなくなった時…ヒロミがオレを救ってくれたんだよ」

「ん……」

「それからはオレの人生が輝くって思ってたのにさ」

「……?」

「この前…親父が倒れたって言われて」


実流はそこでゆっくりと大きな深呼吸をした。


息を吐いた後にもう一度深く息を吸うと



「メジャーデビューを決意したロマスタの奴らとはいれないって思った」


「……っ」


「でもこんな感情が湧くことからしてオレはまだまだ未熟者だよな……」








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