-アンビバレント-
プラスチックの容器をあけると
海に行った時に拾ったきれいな貝とか
ピアノの発表会の時の写真とか
きれいな夕焼けの水彩画とか
元カレと買ったキーホルダーとか
たくさんのものたちが顔をだした。
しばらくこの場所には来ていなかったけど
ここに来ると
いわゆる実流が失うのを怖がっていた「初心」ってやつが
心に染みるように分かる気がするんだ。
しばらく容器を眺めていたあたしは
ふと今日来た理由を思い出してポーチから小さなハサミを取り出した。
それを左手の手首にもっていくと
静かに左手首についているミサンガを切り出した。