-アンビバレント-



「はい!!実流さん今開けます!!」


そう康人の声が聞こえ


ガチャ――


「お前開けんのおせ―…」


そう言いながら実流が顔を上げたとき




「ハッピーバースデー!!」


あたしと清音はおもいっきり紐を引っ張る。



パ―ン、パ―ンという

心地よい音をたてながらクラッカーが弾けた。



「…―ん…だ…よ…」


実流がフリーズしたまま目を点にしている。


その姿を見て

あたしたちはお腹を抱えてゲラゲラと笑い転げた。



そんなあたしたちを見て

これ見よがしに大きなため息をついた実流を見て



なかなか取れなかったミサンガを


無理矢理にでも取ってきてよかったと思った。





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