-アンビバレント-
それからあたしたちは三時間余りもくだらない事をべちゃくちゃと話して
1人なぜか酒を大量に飲んでべろべろに酔った清音が
今日の主役である実流を無視して
家の主である康人に絡み始めた頃
実流が申し訳なさそうに口を開いた。
「ごめん―悪ぃけどオレこのあとちょっと用あんだわ。ほんと今日はありがとな」
「あ!!全然大丈夫っスよ!!送りましょうか…?」
「あ、い―や。ありがとな」
そう言って実流は荷物を持って立ち上がった。
実流が玄関で靴を履く音が聞こえる。
あたしは飛び上がるように立ち上がると
パタパタと玄関に向かった。
「お。今日はみんなありがとな」
「ううん。楽しんでくれたなら良かった…」
「ちょ―楽しめたッ」
そう言って歯を見せて笑った