-アンビバレント-
「……お父さんの具合はどう?」
余計なお世話だなんて事分かってた。
でもさっきの笑顔が
あまりにも悲しい笑いと隣り合わせのものだったから
あたしは聞かずにはいられなかった。
「あ―…あんまよくないかも」
実流は苦笑いをして、最後に「でもきっと大丈夫」と付け足してもう一度笑った。
「あとでお見舞い行かせて?」
「ん…ありがとな」
「じゃ…」
実流がドアに手をかけた。
「うん。またね」
あたしは笑顔で手を振った。