-アンビバレント-
「それではスターライトのライブハウスでの初ライブを祝ってっ!!」
「「かんぱあぁぁぁあい!!」」
カーン、カーンという心地よい音が響いて
テーブルにはボタボタとビールが溢れた。
「いやーしかし凄かったね!!観客!!さすが実流って感じだったよ!!」
早くも酔い始めて声を荒げた隆也に
実流が「ん?」と顔を上げる。
「いや、今日来てたやつらは純粋にスターライトのファンだよ」
「ちょっと実流、何それ嫌味――?」
「ちげーよキヨ、大真面目だって」
「キヨって呼ばないでよ!!清音だってば!!」
ふんっとそっぽを向いた清音の機嫌とりを実流が始めたのを確認して
あたしは自分でも分からないくらいの小さなためいきをつくと、体育座りをした。