-アンビバレント-
結局清音に言われてからも
ミーティングには全然集中できなくて
なんの会議だったのかもあんまり分かっていなかった。
そしてみんなが部屋を出て行く中、あたしと実流は部屋に取り残された。
最近は実流と会わなくなった分
康人とたくさん遊ぶようになってたから
実流と話す時のタイミングとか間とか
もう全部忘れてしまっていた。
「あのさ――……」
実流がゆっくりと口を開いた時
実流が話す時の癖にも今気付いた。
実流は髪の毛を触りながら話すのが癖なんだ……。
そういえばそうだった気もするなぁ
そんな事を思いながらあたしは顔を上げて
ただ実流の整った顔立ちを見つめていた。