しゃぼん玉
サクラ咲く
クラスは異様な空間を醸し出していた…。


私自身、可奈と二人で そこそこ遊んできた部類だから恐れはないが、出席番号順に座らされた私達の距離は長い。

名字が相田でア行の可奈は左端の一番前。

名字が柳澤でヤ行の私は右端の後ろの方…。


知らない人達の中 たった一人でいると不安でたまらなくなる。

可奈はどぅしてるかな…。

斜め前の席のメンズが邪魔で見えないよ…。

ってか、何を食べたら ここまでデカくなれんだろう…。

ぼーっとしながら 斜め前に座るメンズを見ていたら、いきなり後頭部から顔にくるりと変わった。


「あんな、視線、めっちゃ痛いんですけど。」
「ご、ごめん!」
「フケでもついてたん?あ、それとも10円ハゲあったん?はっ!まさか白髪やないやろな!」

ぷふっ。思わず笑ってしまった。

「ないない。大丈夫だよ。」
「はぁ~そら良かった~。大事な入学式に失態したら、この先カッコつかへんやん!」
「あはは!失態って、大袈裟だねぇ。」
「大袈裟な事あるかいっ!あだ名もフケ男とかハゲ男とかつけられてみぃや!俺のバラ色の高校生活は一気にどん底やでぇっ!」

私は爆笑しながら謝った。

「…はぁ、お前笑いすぎ。全然謝られてる気ぃせんわい。…おいっ、失態極まりないお前っ!名前を名乗らんかいなっ!」
「ご、ごめん、あたしは柳澤七海だよ。」
「うむ、じゃあ七海、お前はなんで俺様の、牧田真治様の頭を見てたん?」
「マジごめんね、ただ、あたしの友達が一番前の席にいるから、こっから見えないかなぁってぼーってしてただけなんだ。」
「何や、それならそぅと早よ言ぃやぁ!そら、えろうすんませんでしたなぁ!俺様の日本人離れ的な、モデル並の身長で迷惑かけてもぅて。」


私はまたまた爆笑した。

「あんた、面白いね。」
「ちゃうて。俺がおもろいんじゃなくて、お前がゲラゲラ笑いすぎなんやて。忙しいやっちゃなぁ。…まぁ、でも同じクラスになったんも何かの縁や、宜しくな、七海。」


こてこて関西なまりの愉快な真治に好印象を持った。

仲良くなれそうな気がしたの。

「宜しく、真治。」


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