月の果て
…あぁ、まためんどくさい奴が来た。
「何をしている?」
金髪の右目に眼帯をしている少年は、デカルトを睨みつけながら訊ねた。
「………別に、何もしていません。王子」
と片膝をついてわざとらしく頭を垂れるデカルト。
「煩いと思って来てみたら……」
とうずくまる執事長を見て、
溜め息をつくキルト。
「いいか?お前は、俺の執事なんだぞ。クビなんかになるような事をするな…」
とキルトは、ブスッとして言った。
「………そうですね」
─…俺がクビになろうが死刑になろうが
お前には、関係ないだろう…。
「頼むよ……」
とキルトは、蒼い瞳を緩ませた。
………だいたい、
どうしてガキのくせに
眼帯なんかしてやがるんだ?
そういえば、
初めて国内に顔見せをした時からずっとしてるよな──…