月の果て


「デカルト」

執事長が、去ったのを確認してもう一度デカルトに視線を合わした。



「はい」


「どうしてお前はいつも哀しそうなんだ?」




──────…哀し、そう?




「…なんの事でしょうか?」


何が言いたいんだよ、



このガキ。




「お前の過去に何があったかなんて分からない、知らない。知らなくてもいいと思ってる。だけど───…」

キルトは、泣きそうな顔をしながら


そう、


「せめて、俺の前だけでは。そんな表情をしないで欲しい」

言った。




─────…何を、ほざいてやがる。
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