月の果て


デカルトが、
はっとしてキルトの方を見ると



キルトが、デカルトの顔を心配そうに覗いていた。



「今日は、特に体調が悪いらしいな…」


とキルトは、デカルトに手を伸ばした。




─────────……止めろ!!



俺に…、







────…その刹那。



「───…っ!触るな!!」


シャッと音がして鮮血が飛び散った。





きゃーっとメイド達の狼狽える甲高い声が響き渡り辺りは、壮絶とした。





デカルトがキルトを斬りつけたのだ。



キルトは、斬りつけられた衝撃で椅子から転げ落ちてしまった。


返り血を浴びたデカルトは、鋭くキルトを見下ろして睨みつけた──…




「…………お前に、お前に何が分かる…っ!!」



"デカルト───…"


デカルトの脳内に酷く優しい声が響く。




「貴族なんかに何が分かるんだっ!!」


広い食堂に、デカルトの切ない限りの声が響き渡った。
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