月の果て
「それに、その方は急遽。明日馬車を寄越すと言うのよ。なんて自分勝手な方なのかしら!だから、私。逃げてやろうと思って!!」
ソフィは、ひと息に息を荒げながら言った。
キルトは、目を丸くしてソフィを見つめた。
「つまり、逃げてきたと?」
「ええ!そうよ」
ソフィは、胸を張って言った。
「…………ふっ」
と声を漏らしてキルトは、またクックッと可笑しそうに笑い始めた。
──…?
「どうして笑うのかしら?」
キルトは、目を細めて
「ソフィが、可愛いからだよ」
と言った。
その瞬間、ソフィの顔は真っ赤になった。