月の果て
お願いよ...
いつもみたいに──…
私が名前を呼んだのだから、
"何?"
って振り向いて────…
無情にもキルトは、一度も振り返る事なく立ち止まる事もなく行ってしまった。
………どうして?
私が、何をしたというの?
やはり、
私は気まぐれに王女へと選ばれたの?
だから、こんな事をするの?
答えて、キルト。
私、哀しいわ───…
いいえ、違うわ。
キルトから解放されたのだもの。
これは、いい事よ。
そうよ。
私は、自由になれたの。
─────…なのに、
涙が止まらないのは……
どうして────…?