月の果て


「デ……カ、ルト……」



……………違った。



キルトじゃなかった───…




ソフィの瞳から、とめどなく涙が溢れ出した。



「あなたの王子様ではなくてすいません」

デカルトは、そう言ってソフィに申し訳なさそうに跪いた。



ソフィは、無言で泣き続けた。





「ソフィ様…、行きましょう」


デカルトは、ソフィに手を差し伸べた。



ソフィは、首を振った。


「……嫌よ、キルト……が迎えに来てくれるもの……」



デカルトは、都合が悪そうに眉をひそめてソフィをじっと見つめた。


そして、
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