月の果て


「あの方は、ここへは来ません」




──────…胸を、




鋭い刃物で刺されてしまったのかと





思うほど、



その言葉は残酷で────…




「どう……し、て?」

ソフィは、声を震わせながら訊ねた。




デカルトは、長い睫毛を伏せた。


そして、



「私は、王子に命じられて貴女を捜していました」

と言った。




─────…どうして?



キルトは、私が嫌いになってしまったの?


それとも




気まぐれだから


飽きてしまっただけ───…?




王女にすると言ったじゃない……


嘘つき。
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