月の果て
トントンッ……
とドアを叩く音が。
「はい…、どなたかしら?」
ソフィは、不思議そうにゆっくりと開いていくドアを見つめた。
「失礼します、デカルトです。ソフィ様、体調はいかがですか?」
とデカルトは、一礼をして入ってきた。
「ええ、有難う。快調だわ、大丈夫よ」
とソフィは、微笑んでみせた。
「それは、よかった。朝食の準備が出来ましたよ」
とデカルトも微笑みを返した。
────…もう、誰も私を縛らない。
「有難う、行くわ」
ソフィは、起き上がり足を進めた。
束縛なんてしない……
何処へ行くにも自由になった。
なのに、
何かが胸にぽっかりと空いたのは
どうしてかしら──…?