月の果て


「───…ソフィ様」


隣で廊下を歩いているソフィにデカルトは、深刻そうな表情で話し掛けた。




「何かしら?」


ソフィは、キョトンとしている。





「アナタなら、あの方を救える。───…だから、不器用なあの方を見捨てないで下さいね」

デカルトは、とても優しく哀しい表情で言った。




「あの……方──…って?」




デカルトは、一度微笑んでから


「あの方は、いつもアナタを見ていますよ」


とだけ言った。




──…?


「訳が分からないわ」

ソフィは、訝しげにデカルトを見つめた。



「……さて、食堂に着きましたよ」

デカルトは、にっこりと笑ってから扉を開けた。
< 148 / 482 >

この作品をシェア

pagetop