月の果て
「───…ソフィ様」
隣で廊下を歩いているソフィにデカルトは、深刻そうな表情で話し掛けた。
「何かしら?」
ソフィは、キョトンとしている。
「アナタなら、あの方を救える。───…だから、不器用なあの方を見捨てないで下さいね」
デカルトは、とても優しく哀しい表情で言った。
「あの……方──…って?」
デカルトは、一度微笑んでから
「あの方は、いつもアナタを見ていますよ」
とだけ言った。
──…?
「訳が分からないわ」
ソフィは、訝しげにデカルトを見つめた。
「……さて、食堂に着きましたよ」
デカルトは、にっこりと笑ってから扉を開けた。