月の果て
「まぁ、いいや。ソフィ、アイツのとこ連れて行ってやるよ。」
トラキアは、涙を拭いながら言った。
「本当に?」
ソフィの表現は、微かに輝いた。
「だから、仲直りしてやってくれ」
トラキアは、そう言って優しく微笑んだ。
「…………嫌よ」
ソフィは、トラキアを睨みつけた。
「なんで?」
トラキアは、キョトンとしてソフィを見た。
「もう、キルトに流されたくはないからよ。この際だから、婚約破棄でもなんでもしてやるわ」
ソフィは、ふんっと鼻を鳴らした。
その言葉にトラキアが笑い出したのは、言うまでもない。