月の果て
「キルトは、私を好きではないのに…あの方をお慕いしているのに………」
ソフィは、それだけ言うと嗚咽を漏らして泣き始めた。
「は?」
トラキアは、ポカンと口を開いたまま固まってしまった。
「とにかく!」
ソフィは、キッとトラキアを睨んだ。
「私をスクルジア王国に帰して頂戴!」
トラキアは、その言葉に唖然として
「……いや、だから。なんでそうなるのさ?」
と言った。
「もう……、もう嫌なのよ..キルトの傍にいると私。落ち着くけれど、怖いの……自分が自分では無くなってしまうようで───…」
────…訳が分からない気持ちなんて、
いらないわ───…