月の果て
「……キルトに、会いたくないのよ。……お願い」
ソフィは、瞳を潤ませながらトラキアに懇願した。
トラキアは、しばらく何かを考えて
「………分かった」
と暗く影を落として言った。
「だけど、条件がある」
トラキアは、
真剣な眼差しをソフィに向けた。
「何かしら?」
ソフィは、首を傾げた。
「ソフィは、それで後悔をしない?」
ソフィは、その言葉に目を見開いた。
…………そんなの、
「しないわ」
ソフィは、
強い眼差しできっぱりと言い切った。
決まってるじゃない。
キルトなんて知らないわ──…
あの方と幸せになればいいじゃない!