月の果て
「……どういう意味だ?」
トラキアの声は一段と鋭くなった。
「あの忌々しい王子は、まだ…生きて居られるのかな?」
男は、ニタリと笑った。
忌々しい、王子───…?
その言葉にトラキアは目を見開いた。
そして、
「あのお方を侮辱したな!?」
と大きなハサミをシャッと構えた。
「おやおや……」
男は、ニタニタと笑った。
それから、
「私に勝てるとお思いかな?」
とちょいちょいと指で挑発した。