月の果て


「ナタナエル城」

男は、キッパリと言い切った。



………………は?






ソフィは、段々と真っ青になっていた。





「分かったわ!貴方、キルトに頼まれたのね!?だから、こんな強引な事をするんだわ!降ろして頂戴!!今すぐにっ」

ソフィは、小窓に向かって大声で叫んだ。



「私は、王子などに頼まれてなどいないぞ」

男は、呆気なく答えた。




「じゃあ、何?私をお城に連れ戻す気!?冗談じゃないわっ!!私は、スクルジア王国に帰るのよぉぉぉっ!!」

そう言ってソフィは、馬車の小窓を力一杯叩いた。
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