月の果て
「アイツも随分なお姫様を妃にとると言ったものだ……」
ソフィは、その言葉にムスッとした。
そして、
「そのお話、私。却下してやったわ」
つんとしてはっきりと言い切った。
「……………は?」
男は、唖然と声を上げた。
「キルトの妃には、ならないわ」
「………ちょっと、待った。どういう事だ?」
「言葉通りよ。大体キルトには、立派な恋人がいるじゃないの」
「アイツに恋人……?」
「そうよ!今日も一緒にいて………それから、それから──…」
ソフィは、わなわなと震え上がった。
そして、
「ムカつくわ!!不愉快よっ!私にだって"好き"だと言った事がないのにっ!!」
と叫んだ。