月の果て


「ナタナエル王国であってナタナエル王国ではない…切り離され隔離された場所─……とでも言っておこうか…」




「……どうして?」



ソフィの胸は早鐘を打った。





「あの呪われた王子が、棲むには丁度いいところだろう…」

と男は、嘲笑うように言った。




─────…キルトが、




呪われている───…?




「そんな筈ないわ。」


「──…どうして?」




「キルトは、呪われてなんていないからよ」

ソフィは、きっぱりと強い意志を持って言い切った。




「何故、そう思う?」


「あんなに……」




ソフィの脳内に
優しい金の瞳と蒼い瞳が揺れ動く──…




「あんなに美しい瞳を持っているんだもの」

ソフィは、優しく微笑みながら言った。
< 174 / 482 >

この作品をシェア

pagetop