月の果て
「ナタナエル王国であってナタナエル王国ではない…切り離され隔離された場所─……とでも言っておこうか…」
「……どうして?」
ソフィの胸は早鐘を打った。
「あの呪われた王子が、棲むには丁度いいところだろう…」
と男は、嘲笑うように言った。
─────…キルトが、
呪われている───…?
「そんな筈ないわ。」
「──…どうして?」
「キルトは、呪われてなんていないからよ」
ソフィは、きっぱりと強い意志を持って言い切った。
「何故、そう思う?」
「あんなに……」
ソフィの脳内に
優しい金の瞳と蒼い瞳が揺れ動く──…
「あんなに美しい瞳を持っているんだもの」
ソフィは、優しく微笑みながら言った。