月の果て
ソフィの何の前触れもない行動にキルトとシルベリアは、目を見張った。
「もう、嫌よ……」
ソフィは、翡翠色の瞳から大粒の涙を流しながらポツリとそう言った。
「この国に来てから、キルトに振り回されてばかりなのに疲れたわっ!」
2人は、キョトンとしてソフィを見つめるばかり..
「キルトが……キルトが、エリスという方の名前を呼ぶのはもう..聞きたくないわ!」
嗚咽を漏らしながらソフィは、耳を塞いで半ば泣き叫ぶようにして言った。
「………ソフィ」
キルトは、愛おしそうに蒼い瞳を揺らせながらソフィへと手を伸ばした。
「いやっ!」
ソフィは、キルトの手を払いのけて睨みつけると開けっ放しにされている扉の方へと走り出してしまった。