月の果て
〜ソフィside〜月の青年
それは、昔々のお話でスクルジアという王国のある事件から始まるのでした─…
「嫌です」
可愛らしいドレスを着た少女は、目の前にいる人物を睨みつけた。
「ソフィ、聞き分けがないぞ」
威厳のある声を発したのは、煌びやかな服装に身を包んだスクルジアの王。
ダージリンだった。
「嫌ったら嫌です!」
ソフィと呼ばれた少女は、息を荒げた。
「まったく…」
とダージリンは、大きく溜め息をついた。
「ソフィ、これは王国のためなのですよ?」
優しくソフィに声を掛けた美しい女性は、この王国の王妃、マリアナ。
「…それでも、嫌です」
ソフィは、そう言って肩をすくめた。