月の果て


「だから、だからこそ..怖いんだ。あの子が逃げてしまいそうで───…」




消えて、しまいそうで───…





俯いて無言になった主人に


「ガォ……」

とだけ鳴いてライアンは、体をすり寄せ励ました。






そんなライアンにさえ反応を返そうとしないキルト。



デカルトは、一礼をして




「貴方様の仰せのままに」


と言って部屋を出た。






独りと一匹の部屋の中で、

ただ茫然と時は過ぎていった──…
< 240 / 482 >

この作品をシェア

pagetop