月の果て
「わ、私に構わず早く行って!…あの人もキルトが追い掛けて来るのを待っている筈よ」
とエリスは、キルトの背を押した。
「……エリス様」
「ほら、早く!」
「お一人で、道が分かりますか?」
その言葉にピタリと止まるエリス。
「……い、いいのよ。そんな事は」
と強がってみせるエリス。
そんなエリスに、キルトはふっと笑って
「デカルトを迎えに寄越しますから」
と言って歩き始めた。
エリスは、顔を真っ赤にして
「ひっ、一人で戻るわ!」
と言った。