月の果て
「ところで、どうしてお前はそこまでしたんだ?欲しいものがあるなら言いなさいといつも言ってあるだろう..」
────…言える筈がない、
キルトは、影を落とすと
瞳を閉じて、昔を思い出した──…
"──…キルトには、大切な人いないの?"
幼い少女が訊ねる。
"いませんよ"
キルトは、きっぱりと笑顔で答えた。
"どうして?"
キルトは、にっこりと微笑んで
"俺に愛された人は、可哀想だから─…"
と寂しそうな笑みを浮かべて眼帯を抑えた。
"可哀想なんかじゃないわ"
エリスは、泣きそうに瞳を歪めた。