月の果て


「だって、そうでしょう!?……恋人が、エリスという方が..いるのに──…」


ソフィは、翡翠色の綺麗な瞳を揺らせた。





「………エリスが、恋人?」


キルトは、キョトンとしてからソフィの肩辺りに顔をうずめ、
クックッと喉を震わせて笑い始めた。



────…何が、どうなってそう思う?


どこからどう見たって



俺が愛しているのは君だろうに…




「ど、どうして笑うのよ!」


ソフィは、困惑したように表情を曇らせた。




「いや、それだけは有り得ないから。」


キルトは、はっきりと言い切った。




「どうして?だって、ラクロアの花─…」




………そこか、



エリスがデカルトの事を想っていると教えてしまったら、エリスが怒るだろうな..


どうしようか、

ごまかした方がいいか..?



「あぁ、あれね。そんなのデカルトにだってトラキアにだって言った事があるんじゃない?」

とキルトは、にっこりと笑って言った。





「どういう事……?」


ソフィは、訝しげにキルトを見た。




……やっぱり、


少し苦しかったかな..?
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