月の果て


「いたっ……!」


少女は、すぐに起き上がって散らばってしまった林檎をかき集めた。




そこへ



「追いついたぞ…」


と息を切らせた男が、少女の肩を掴んだ。





少女は、ピクリと体を震わせておどおどと振り返った。




「今日こそは逃がさないからな」


男は、ニヤニヤと表情を引きつらせた。





少女は、ウルウルと瞳を潤ませて



「見逃して、病気の弟がいるの..」

と言った。
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