月の果て


───…そう、



あたしには親の記憶なんてない。





「────…ぁ、はぁ..」


ミルーラは、路地裏に隠れ息をついた。





だって、




あたしの親は、


あたしを棄てたから──…




ミルーラは、ドカッとその場に座り込んだ。



そして、


「ったく!林檎くらい見逃してくれたっていいじゃんっ…ケチッ!!」


と曇り空目掛けてそう叫んだ。





その時、すぐ後ろで


「誰かいるのか?」

と声がした。
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