月の果て
「……へぇ」
とキルトは、辺りを見回した。
そうだな、試しに───…
「なかなか良いところだね、何もなくて」
キルトは、にこやかに言った。
どうだ?
こんな嫌みを言われたんだ。
きっと、
この子は怒るだろうな───…
とキルトは心の中でほくそ笑んだ。
しかし、そんなキルトの思惑とは裏腹にソフィの表情はキラキラと輝きだした。
「そうでしょう?私、大工さんに習って頑張ったのよ」
…………なんで?
思いっきり嫌みを言ったのに───…
キルトは、口元を抑えてクックッと笑い始めた。
「どうしたの?」
ソフィは、首を傾げて不思議そうにキルトを見つめた。
………あぁ、
この子は、あの時から何にも変わってない。
あの時のまんまだ──…
「ソフィは、面白いね」
キルトは、そう言ってソフィに優しく微笑みかけた。