月の果て
────…城の中の豪勢な部屋の中。
キルトは、
窓から外に映る月を眺めていた。
──…トントン
静かな部屋に、ドアを叩く音が響いた。
「入れ」
キルトは、ドアを見つめて言った。
「失礼します、キルト様」
とデカルトは、頭を下げて入室した。
「デカルトか…」
とキルトは、呟いた。
そして、デカルトは青ざめる。
「………また、城を抜け出しましたね?」
「何の事だ?」
とキルトは、鼻で笑った。
「全く、誰が掃除すると思ってるんだか…」
と土だらけの室内を見渡したデカルトは、溜め息をついた。
「それに、そんな変装をしていてば言わずとも分かります」
とデカルトは、村人の服装に身を包んだキルトを呆れながら見た。
「そうか?」
とキルトは、ベッドの傍で気持ちよさそうに眠っているライオンの頭を撫でた。