純恋



「あ、きょん。」



撫でていた、

温かい手を私の頭から離して

思い出したように、口を開いた。







「俺、きょんにお礼したいんだけど。」




お礼。






理解するのに時間がかかった私。



「だからさ、今日の放課後、残っててよ。」




付け加えたように言い放って、



わいわい騒いでいる、

男子の中へと入っていった。









お礼をするから……?



雅人の背中から目が離れない。





ドキドキドキ━。





また胸を高鳴らされた。




雅人は…

本気で言っているのだろうか。





いつもそうだ。


何が本気か分からない。


何が冗談なのかも分からない。




クラスのみんなの前でいうことも


『ぼくーおんなのこすきーっ』

とか


『前世、は白馬の王子様ー!』

とか…


もっとまともなこと言えないの?



って思ってたから


今回も冗談………なのかなぁ?







そう思っていた。





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