純恋
「きょん!」
ビク。
前のような元気な声で
私の名を呼んだ雅人。
不意で驚きながら
バッとそちらに首だけ傾ける。
「話、終わったんだろ?どうすることになった?」
あどけない顔で
躊躇いもなくそう聞かれた。
「え…。」
雅人は相変わらず机に座ったままで
じっと私の返事を視線で促す。
「私……大学行く。」
静かに答えた。
言いにくかったけど
きちんと答えたはず。
なのに
私の声が小さすぎたのか
え?っと聞き返すものだから
少し悪い感情を覚えつつも
「大学行くの!」
言った。
私の言葉で雅人が固まる。
なんでだろう
心臓がバクバクしていた。
「え、きょん…大学行くの?」
疑ってるんだろうか……
「うん。推薦で勧められたし…親も承諾済み。」
しどろもどろになってしまう。
胸を張っても良いことなのに
なんでできないんだろう。
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