天使の降る夜
話し終わると、恭は目で問い掛ける。
「沙夜斗は?」と…。
「今日はとても気分がいいんだ」
「本当?良かった」
ほっと息を吐き、沙夜斗の髪を撫で続ける。
沙夜斗は目を閉じて、自分の髪を撫でる恭の手に身を任せている。
しかし突然恭の手を取り、指にキスをした。
「なっ!」
恭は驚いたのと、恥ずかしいのとで、顔を赤く染める。
「お前が髪を撫でるから、感じちまった」
指を銜えたまま言う。
恭の好きな、意地悪そうな鬼畜な笑い。
「何言っているの?沙夜斗病気!」
「だから今日は気分がいいって言っているだろうが」
「バカ!ダメだって」
「何がダメなんだよ。お前だって抜いてないんだろ?お前が俺をさしおいて自慰するわけがないもんな。抜いてやるよ」
沙夜斗は言うとすぐに、恭の腕を引き、胸の中に収める。
そのままキスをし、舌を入れ唾液を送り込む。
舌を絡めて吸う。歯列の裏、舌の裏を舐めると、恭はしがみついてくる。
実際沙夜斗の言ったとおり、恭はここしばらく抜いていない。
恭自身より、恭の身体を知っている沙夜斗にかかると、小さな抵抗も喘ぎと変わる。
 二人の長い長い夜が幕を開けた。
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