天使の降る夜
「沙夜斗もう起きているかな?」
某女子中学校英語教師、久我 恭は心の中で、愛する人のことを考える。
彼は今、家をでて、愛する人と一緒に暮らしている。
今まで生きてきた年月に比べたら、ほんの一時にしかすぎないその彼との時間が、恭にとって今、何よりも大切なものになっていた。
「そういえば、沙夜斗との出会いってどんなのだっけ?」
ふと浮かんだ小さな疑問。家に着くまで、少し思い出してみよう。
「えっと、確か……」
恭は、前方に続くテールランプの波を見ていた。
その赤い光がぼやけてきて、彼は思い出の中に身を委ねていった……。
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