何処にでもあるラブストーリー

奈緒子は黒い淵のメガネを掛けクリーム色のスーツを着ていた。　白いブラウスの首元には赤っぽい色のスカーフを覗かせていた。　奈緒子の黒くて綺麗な艶のある髪は、ヘアゴムで束ねられていた。　

僕は奈緒子をすこしだけ微笑んだ。　奈緒子のスーツ姿をみるのは、就職活動以来かな・・・　夏の暑い日に僕は奈緒子と、いくつかの就職セミナーに２人で参加していたことを思い出す。　

「今日は早く上がれたの？・・・仕事」奈緒子に尋ねると、彼女は、黒のショルダーバックを座席に置きながら「うん・・・まあね」と応えた。

「駿は？」奈緒子が聞き返した。

「出勤木曜日からだからね・・・それまで休み」