何処にでもあるラブストーリー

奈緒子から次の言葉が出るまでの数秒間、僕は菜緒子の言う「ごめんなさい」が、この前の別れ話の撤回を意味するものであってほしいと願った。　


「駿とは今まで、いろんな思い出作って私もこんな気持ちになるなんて思ってなかったけど・・・」
「もう、駄目なの・・・いっしょにいれないの・・・」奈緒子の言葉はこう続いた。

僕の浅はかで楽観的な願いは叶わず、現実的でどろっとして黒っぽい絶望感が、僕にのしかかった。

「そっか・・・僕の事を嫌いになったの？　それとも好きな人が他に出来たの？」
尋ねたくない疑問と、聞きたくない答えを含んだ質問を僕は奈緒子にしていた。