何処にでもあるラブストーリー
僕らは金魚に飽きると、紫色の暖簾をくぐった。 
「雰囲気はいいな」僕は思う。
 蕎麦屋に靴を脱いで入ると、畳の床に黒くて重量感のある木製のテーブルが大小いくつかあり、僕ら以外の観光客が、4組ほど座布団に腰を掛け、そばを食べていたり、注文した品物を待っていたりしていた。 

僕らも座布団に腰を掛け、和紙を表面を黒く焼いた板に貼り付けた作りのお品書きから品物を選んだ。 

ここは山だし、やはり山菜と山芋のとろろそばだろうと奈緒子との話し合いの結果、合意し僕らは揃ってとろろそばと山菜ごはんを注文した。
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