何処にでもあるラブストーリー
「そういうわけじゃないんだけど、まあ、なんだかこっちから人出さなきゃならなそうなんだよ、東京勤務希望の奴で若い適当なのがいないんだよな」黒沢はちょっと済まないという風に言った。

「確かお前の彼女、東京で働いてんだろ?一緒に住みたいって、この前、正久保(行きつけの居酒屋)で泣いてたじゃんか! あは、あはは・・・」今度は面白がって、黒沢は事務所内に聞こえるよう大声で言っている。

部長の台詞に、周りの同僚も反応して、ニヤニヤしながら、顔を上げた。
 部長の隣のデスクの座っている後輩の朝倉 涼子だけが僕を睨んだように見えた。
< 71 / 235 >

この作品をシェア

pagetop