カカオ100%
やっぱダメだよね。
うん。ダメだ。
知らない人の車に乗るなんてさ。
小さい頃だって知らない人についていっちゃいけませんって習ったもんね。
「あの…。やっぱり歩いて帰ります!」
そろりと車の扉を開け左足を外に出したところで腕を掴まれた。
脱出失敗。
「おい、待て!お前を送って行かないと俺が怒られるんだよ」
え?
「どういう意味ですか」
あたしとこの男は今さっき会ったばっかだ。
そのほかに関係なんてない。
………はず。
その男は、はぁ。とわざとらしくため息を漏らした。
「お前の兄貴の名前は?」
……お兄ちゃん?
私には兄が一人いる。 年の離れた兄が。
「光輝(コウキ)ですけど……」
「だよな。それ、俺の友達」
「えぇぇっ!??」
そこら中に響き渡ったんではないかってくらい叫んでしまった。
慌てて両手で口を塞ぐ。
まぢですか?
この男とそんな関わりが……。
なんかショックだ。