カカオ100%
「え~。だって、りっくんはりっくんじゃん」
「うるさい、黙れ」
ぴしゃんと何もかもをシャットダウンするように言い放った。
その言葉にお兄ちゃんは少し小さくなったように見えた。
りっくん……。
なんて合わないニックネームなんだろう。
この謎のイケメンを見でりっくん゙というのを想像してみたらムフフと含み笑いがあふれた。
ニックネームをつけた本人になんでこのあだ名をつけたのか聞きたいくらいだよ。
「で、何もしてないんだな!?」
お兄ちゃん、話し変わりすぎだってば。
「しつこいなぁ。何もしてね―よ」
りっくんがだるそうに半ば呆れ顔で返答する。
いや、いや、いや。
あなたしましたよね?
あたしに、キ、キスしましたよね?
思っきりしてんじゃん!!
ファーストキスだったんですけど?あれ。
きっと力強く男を睨みつけてやった。
「伊織。こいつは危ないからな。気をつけろよ!」
あ、危ない……?
ちらっ謎のイケメンの方を見ると、怪しいくらいの微笑みが返ってきた。
なるほどね。
よ―するに、お兄ちゃんはこのイケメンが女タラシだから危ないって言いたかったんだね。